RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
カワセミ珈琲店
大阪府枚方市 2019 /Jun/ 03 updated「1人でふらっと来て窓辺の席で読書をしたり、何かの帰りにお母さんとお子さんが2人で来てケーキを食べて帰ったり、そんな近所の人がほっとできる場所を作りたかったんです」。そう話すのは店主の穴見さん。以前から、生まれ育った地元・枚方に戻って老若男女が気軽に利用できる珈琲店を開くことを夢見ていました。お店を「カワセミ珈琲店」と名付けたのも地元への思いから。カワセミは付近でよく観察できる鳥であり、枚方市の市の鳥にも指定されています。
これまでは趣味のひとつだったカフェ巡りが、お店の話が具体的になるにつれ、依頼先探しへと変わります。「いろんなカフェを回って、『いいなぁ、ここ』と思ったお店がどこもDEN PLUS EGGさんが手がけたものだったんです」。電話で問い合わせて、それから話はとんとん拍子に進み、祖父母から譲り受けた幹線道路沿いの土地に住居を兼ねた珈琲店を作ることになりました。
広い敷地を上手に活かす方法はないかと、設計担当者の提案で平屋を2棟建てることに。店舗の入口を道路正面に配置し、住居の玄関を裏手へ。仕事と暮らしをはっきり分けることができ、2つの建物の間に植栽豊かな坪庭を作ることもできました。内装のテーマは「素朴であること」。シンプルな空間の中に古い本棚やランプが自然に馴染む、インテリアが主張しすぎない空間。庭を望む窓辺のカウンター席は椅子と椅子の間をゆったりととり、テーブル席も2人掛けのセットをゆとりを持って配置。「大勢でわいわい楽しむというよりは、1人か2人で来てゆったりとした時間が味わえる空間にしたかったんです」。
軽食として出されるケーキやトーストは穴見さんが手作りし、こだわりのサイフォン珈琲は弟さんが担当します。レジカウンターの後ろにある機械で豆を焙煎しはじめると、店内はもちろん表通りまで豊かな香りが広がります。香りにつられてお店の前で立ち止まる人も多く、「この前は小学生の女の子が1人でケーキを食べに来てくれたんですよ」。老若男女が気軽に立ち寄れる地元の珈琲店。穴見さんが描く理想のお店に近づいているようです。
カワセミ珈琲店
枚方市伊加賀西町68-1