RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
MAD et LEN TOKYO
東京都台東区 2024 /May/ 14 updatedMAD et LENの商品をまとめて見ることができるフラッグシップストア。アイアンのパッケージをイメージさせる焼き杉の漆黒、華やかさを添える胴板のピンク色、日本らしさを取り入れながら、フランスのハンドメイド・パーフューム・ブランドの個性を十分に感じる静謐な空間が誕生しました。
日本ではインテリアショップでの展開が多いのでルームフレグランスのブランドと捉えられていますが、創始者でクリエイティブ・ディレクターのアレックスは調香師で、一番力を入れているのはオードパルファンだという。商品の数はアーティスティックな容器のものも加えると相当なボリュームとなり、常時すべてを展示することは難しい。そこでメイン商品であるオードパルファンを展示する固定棚をサイドに配し、反対側には天然石や琥珀のポプリ、そして中心の大テーブルとサイドの展示台は可動式にして、季節やテーマによって店内のレイアウトを変えられるようにしました。
2010年のデビュー以来ずっとMAD et LENの商品は日本に輸入されてきましたが、インテリアショップやセレクトショップでの展開が多く、全商品をまとめて見ることはできませんでした。にも関わらず人気は高く、ファンはみないくつかのショップを回ってお気に入りの香りを見つけていました。D+E MARKETでもショップオープン当時から10年以上扱い続ける大切なブランドです。
アレックスは2019年に来日、ヒノキと出会い新たな香りを生み出しました。その来日をきっかけに日本にフラッグシップストアをつくるプランが浮上、日本の代理店が物件探しを始めました。
どんな町に日本のフラッグシップストアをつくるのか、本国から提示された条件は3つ。「高層ビルがないエリア」「クラフトマン(職人)が働く町」「裏路地がある場所」。この条件に当てはまらない銀座や渋谷、表参道は対象から外れ、清澄白河や松陰神社などの候補が上がるなか最終的に決まったのはいま注目を集める「蔵町(田原町)」でした。浅草の隣、かっぱ橋道具街もあるこのエリアには多くの職人たちがいまも工房を抱え、味のある古い建物が軒を連ねながらもカフェやセレクトショップなど最新アドレスが数多くオープンしている注目の町です。
そんな田原町にあった人気のセレクト雑貨ショップの移転に伴いちょうどいい物件が空きました。とても広いスペースなので、半分を『MAD et LEN』フラッグシップストア、残り半分は『MUWHAT』(別ページに記載)、そしてバックヤードをオフィスとして活用することになりました。
「DEN PLUS EGG吉田さんのプランを見て驚きました。四角いキューブ状のスペースに、アーチのある造作壁が描かれていたんです」と話すのはMAD et LEN日本代理店のNさん。「最初はそのアーチの必要性がわからなくて『アーチは本当に必要ですか?』と質問したりしました。けれど『必要です』ときっぱり言われて静観していると、できあがったショップはアーチなしでは成り立たないような雰囲気のある空間になっていました。もし強引にアーチなしに訂正していたらきっと退屈な空間になっていたと思います。その空間想像力とでもいうものに、不思議な力を感じた出来事です」。
もう一つの特長は日本を感じるマテリアル“焼き杉と銅”の組み合わせによる棚とテーブル。数寄屋建築の雨樋などに使われる銅板と土蔵などに使われる焼き杉をモダンなスタイルでデザイン、洋の空間に和のエッセンスを加えました。両者ともにMAD et LENのアイアン容器と同じように経年変化を楽しめる素材で、これからどのように味わいを放っていくのかが楽しみな要素です。
オープン直後から多くのMAD et LENファンがショップを訪れ、みな一同に新しい空間を満喫している様子だという。コアなファンの期待にも応えられる素晴らしいフラッグシップストアとなったようです。
MAD et LEN TOKYO
東京都台東区寿2-9-17 真山ビル1F