RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
CIEN
東京都目黒区 2024 /Jan/ 05 updated「“髪を切ることで始まるご縁を大切にしていきたい”という思いを込めて『CIEN』(始縁)と名づけました」。そう話すのは恵比寿の大通りを少し入った住宅街のマンションにある美容室の店長のワタナベケンジロウさん。
入口のドアを開けるとオーク無垢材のフローリングとカウンターが目に留まります。まるでカフェのような明るい色の天板が店の雰囲気を明るくしています。「お客さまはみんなこのカウンターを気に入ってくださっていて、カットの予定がないのにふらりと寄ってくださる方もいます」。このカウンターの存在がお店の風通しのいい雰囲気を生み出しました。
恵比寿と中目黒に美容室を構えるオーナーのサイトウジュンヤさんは3店目を開くにあたり店長のワタナベさんを中心に新店舗の企画を始めました。DEN PLUS EGGのSNSの事例写真を気に入ったオーナーは、ワタナベさんとともに東京オフィスを訪ねました。実際に訪れたオフィスの雰囲気やアンティークを使った空間は写真よりもずっと魅力的で、『STORE DESIGNE』冊子でさらに多くの店舗設計事例を見てすっかりDEN PLUS EGGを気に入ってしまいました。「手がけられたお店はどこも雰囲気がとても良くて、DEN PLUS EGGさん店舗設計をお願いすれば、自分たちだけではイメージできない部分もうまくデザインしてくれそうだなと思いました」。
ワタナベさんは、かつて自分が旅したチェコの街角で撮影したお店のファサードやカフェの店内などの写真を担当スタッフと共有しイメージを伝えました。「カフェのようなカウンターをつくりたかったんです。あえて美容室らしくない美容室を目指しました」。このカウンターを待合いに使ったり、知り合いが訪ねてきたら飲み物を出したりもできると言います。天板は少し軽やかな“遊び”の感じを出すようにテラゾータイルを選びました。入口のドアは、建物の外壁がレンガだったので、丸みのあるアールのデザインを施したデザインのドアが提案され、足元には真鍮の板をあしらっています。
店の真ん中に稼働式のセット面をオリジナルで造作し3台(6席)設置して、電源を天井から取ることで自由にレイアウトできるようにしました。「お客さまが来られるたびに少しレイアウトを変えたりするのも面白いかなと思いました」。セット面の鏡は真鍮で縁取りし、デザインとしても美しい仕上がりになりました。壁につくり付けず、稼働式にすることで、お店を軽やかな雰囲気にしています。
トイレのドアはDEN PLUS EGGがヨーロッパから仕入れたアンティークを取り付け、壁面の中央が引き締まりました。手洗い場の側面にはグレーのタイルを貼り、丸い鏡を取り付けました。「トイレはこだわった場所なんです」とワタナベさんは言います。「今回、店の壁の塗装は自分たちスタッフで塗りました」と、スタッフも施工に参加したことで、お店への愛着もさらに深まったようです。完成したお店の評判はとてもよく、「“おしゃれですね”とお店の雰囲気を気に入って来られる新規のお客さまも予想以上に多く、仕上がりにとても満足しています」とワタナベさん。
「コロナでいろいろなことが停滞していたころ、お客さまが髪を切ることで気分も上がり元気になると言っていたんです。髪を切ることは、その人に新しく始まる何かを後押しする力があるんだなと思いました」。このカウンターから会話も弾み、単に美容室というだけでなく、お客さまとの交流が生まれる新しい店になる、そんな予感がします。
CIEN
東京都渋谷区恵比寿南3-2-10クイーンホームズ1F