RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
PERCH
東京都杉並区 2024 /Jan/ 24 updated大きなワンフロアのヘアサロンには余計なものは何一つない。淡いグレーとモルタルを基調としたシンプルで凛とした空間に、選び抜かれた家具と建具、照明がアクセントをプラス。LAと東京で長くサロンワークをしてきた黒子麻衣子さんは、子どもの成長のタイミングに合わせてかねてより思い描いていたワンオペレーションのサロンを持つことになりました。
「インスタグラムにすごく好きなスタイルのお家が載っていたんです。それは住宅デザイン事例だったのですけど、一度訪ねてみようと連絡を取りました」。ビル設計を仕事とする父親を伴って早速DEN PLUS EGG東京オフィスに出かけた黒子さんは、打ち合わせ室にあった大きなミラーに目が釘付けになりました。「漠然と思い描いていたミラーがそこにあったんです! 見た瞬間これだと思いました」と話す。それは1点もの大きいアンティークミラーで、DEN PLUS EGG東京オフィスができたときからつけられているものです。最初の訪問の後、同行の父親からお墨付きをもらって正式にDEN PLUS EGGに店舗設計を依頼、運命の出会いであったミラーは非売品であったため、同じデザインでオーダー製作することになりました。
「無機質な空間にアンティークの家具がぽつっとあるのがとても好きです。ほかに木と真鍮の組み合わせ、そして緑色も好きだと伝えたると、その通りの色や素材を使用したプランをいただきました」と黒子さん。できあがったミラーは、美しいカーブを描くフォルムから木の質感までモデルとなったアンティークと寸分たがわず、これから使い込んで味を出していく楽しみのあるアイテムとなりました。
「自分では気づかない提案も数多くいただきました。バックヤードと店舗の仕切り壁にアンティークのアイアン窓を付けたり、もともとステンレスだったエントランスの扉を外壁と同じ色にしていただいたり、そのアイデアやケアが素晴らしかったです」と話す黒子さん。その中でも特に気に入っている提案は、トイレのアンティークドアとバックヤードのアーチ型入口のスウィングドア。両者はもともと1枚の背の高いアンティークドアでした。日本の建物に使用するには高すぎるドアの下部を切り取ってスウィングドアとして再生、残りはトイレのドアとして使用し、1枚のドアを2枚にアップサイクルし、近い場所につけることでデザインの統一感を出しています。グレーの空間に、再生された2枚のアンティークドア。オリジナルミラーとともに『PERCH』のシンボルとなりました。
完成したサロンを見渡すとペールグレーの四角い空間はさながらギャラリーのよう。それは黒子さんがもう一つ描いてきた目的のためでした。「ここはヘアサロンだけではなく、さまざまな作家の作品を展示したりするスペースにもしたいと思っています」と黒子さん。これからはご主人の郷里である益子の作家さんや絵画、ファッションデザイナーさんなどジャンルを問わずにいろいろな友人や知人たちの作品を紹介する場にもしていきたいと話してくれました。PERCH(止まり木)の名の通り、たくさんの人がヘアサロンとして利用するだけでなく通える場所になりそうです。
PERCH
東京都杉並区永福3-51-11 1F