RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
DELI a Casa
大阪府大阪市 2023 /Feb/ 13 updated下町風情の空堀商店街から南へ路地を抜けるとイタリアン・レストラン『il Centrino』が見えてきます。そしてその角を曲がると、長屋の一角にヨーロッパのショップのようなファサードが目に留まります。ライトグレイの壁に印象的なふたつの小窓。そこから見えるのはワインの瓶や総菜のショーケース。『il Centrino』の2号店『DELI a Casa』は、1階がイタリアンのお惣菜や、パスタ、オリーブオイルなどの食材を扱うデリ、2階への階段を上るとカーペット敷きのカジュアルな明るいダイニング、長屋の外観からは想像できない空間が広がっています。
『il Centrino』のオーナーシェフ北口智久さんとマネージャー魚見洋一さんは、倉庫として借りていたこの長屋の物件を、総菜や食材を扱うデリにしようと話していました。ちょうどその時期は世界的な感染症の影響で飲食店も大きな影響を受ける中で、テイクアウトのニーズが高まることを感じ、「ご自宅で楽しんでいただけるグルメという世界にもチャレンジしたい」と2店目を開くことを決めました。話を進める中で、将来を見越してテイクアウトだけでなく気軽にお食事を楽しめる席も設けようと夢はふくらんでいきました。
北口シェフは、以前から『D+E MARKET』(DEN PLUS EGG販売店)が輸入する家具などに関心がありお店も訪れていました。さらにある時、魚見さんが友人に誘われて訪れたのが『DEN PLUS EGG』が設計を手掛けた西宮の名店『エスキーナ』(現在はオンラインストアのみ)でした。そこで食事をした魚見さんは「時間が経つにつれて味がでるような雰囲気や世界観が気に入ったんです」と言います。さらにその後D+E MARKET姉妹店のリネン専門店『FLUFFY AND& TENDERLY』をふたりで訪れ、お店の細部のつくりこみを観て確信を持ったそうです。そこでまず『il Centrino』のテーブル用のリネンのナフキンとカーテンを付け替えました。すると窓からの光がそれまでとまったく違う柔らかく優しいものになりレストランの空気は一変、毎日アイロンをピシッとかけて準備されるリネンナプキンもそれまでのにない上質さをまとっていました。その感覚を肌で感じた魚見さんは、新しいデリは『DEN PLUS EGG』に設計施工をお願いしようと決めたのだと言います。
新しいお店については魚見さんが主となり、『DEN PLUS EGG』の店舗の事例などを観ながらイメージを伝えて進めていきました。ファサードには木製の扉を軸に左右に小窓を設け、壁をライトグレイに仕上げると、ひときわ目を惹くデザインに。通りを行く多くの人が「何のお店だろう」とお店を観ながら通るようになりました。中に入って目を惹くのは目の前の大きな総菜のショーケース、既存の冷蔵ケースを木製カバーで仕上げ、空間に馴染むように。奥の壁を一面だけピンクベージュにすることで、全体の雰囲気が一気に華やぎました。
階段にはフリルガラスのペンダントライトが吊るされ、壁にやわらかな波の模様の影を映しています。2階は、足音が響かないようにカーペットを貼り、壁側一面は木製のベンチにして、たっぷりの収納スペースを確保すると同時に1号店の『il Centrino』とは異なるカジュアルな雰囲気が生まれました。棚の一部には長屋の梁を残し、焦げ茶色の梁と白地の壁のコントラストが印象的です。壁は上下に塗り分けられ、境目には真鍮を張ってアクセントにしています。壁面には魚見さんが選んだアート・ポスターが飾られ、棚には食の本やワイングラスを置かれていてどこか別荘のダイニングのようです。
「今後もDEN PLUS EGGさんの施工事例などを参考にしながら、内装を少しずつ変えていきたいんです」という魚見さん。「扱う食材を増やし、ワインを置いたりして、イタリアの食文化を伝えたり、食の提案をもっとしていきたいんです」。オープンしたら完成と考えず、内装は気になる部分に少しずつ手を加え、サービスの充実もして、さらにいいお店にしていきたいと教えてくれました。
DELI a Casa
大阪市中央区瓦屋町1-2-5