RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
CAFE CYANT(カフェ・シヤント)
大阪府大阪市 2021 /Oct/ 06 updated入り口からのアプローチの楽しさ、光で変わるシアンブルーをていねいに選んで。
青色の代表“シアン(Cyan)”ブルーと日本語の「ちゃんと」を組み合わせて店名にした『CAFE CYANT(カフェ・シヤント)』。日常のちょっとしたことをちゃんとすることを心がけた、みんなの暮らしの中にあるカフェです。ロゴマークの3匹の猫は、ちゃんとすることを象徴して七三分けにしています。
ブルーグレーのドアをくぐると、白い壁と大きなポスター、ペパーミントグリーンのマルゾッコのコーヒーマシーンが目に飛び込んできます。カウンターに沿ってお店の中に歩いて行くと鮮やかなシアンブルーの壁にハッとします。
元クリーニング店であった明るいガラス張りの物件、事務所スペースにあったトイレの位置を客席寄りに移動させる以外は、事務所をキッチンに、店舗スペースに変形L字のカウンターを設え、元の間取りを生かした店舗づくりをしています。自動ドアをオリジナルドアに付け替え、全面ガラス張りの一面はそのままブルーグレーに塗り直し、コーヒーカウンターの後ろをテーマカラー「シアンブルー」に塗装、それ以外はできるだけ“普通”っぽい白い壁紙を選びました。「実はドラマで見たブルーの壁があまりにステキで、そのイメージでブルーの壁を作りたかったのです。ただ『シアンブルー』と言ってもいろいろあるので、どれがいいのかあれこれ悩んだ末に、に太陽の光の加減で、変わる表情を楽しんでもらえるこの壁のブルーを選びました」と吉田さん。
旧居留地の『カフェラ』で出会った吉田夫妻は、その後それぞれが別々のカフェや飲食店で経験を重ねた後、昨年念願のカフェをオープンしました。計画を始めたのは2019年、まだ世界はごく普通の時代でした。
「長い間使ったものの良さを感じる」「時間の経過を楽しむ」「長期的に良くなっていく、馴染んでいくものを使う」ことを信条としている吉田夫妻は、上町台地・四天王寺の住宅街の一角にガラス張りのとても明るい物件を見つけ、自分たちと同じ意識を持つ店舗デザインをしてくれる会社を探し始めました。
DEN PLUS EGGのホームページを見て、自分たちの思いと近い感覚を持っていることを知った吉田夫妻は、打ち合わせのために苦楽園の緑のお家を訪ねました。そのときの印象を「素晴らしすぎますよね。自分たちがどこにいるのか一瞬わからなくなりました。海外の匂いというか、アンティークが持つ独特の匂いもとても好きで、打ち合わせに行くのが楽しかったです。あんな空間が存在するんだと、圧倒されましたね」と話す。
ふたりで緻密なコンセプトシートをつくり、設計担当者と内容を共有して、日々の暮らしの中に溶け込む、それでいてちゃんとしたカフェ空間をつくることができました。2020年3月、ようやくオープンしたものの新型ウイルスの感染拡大が始まり、大変な状況の中でテイクアウトメニューを充実させるなどいろいろな対応しながら、自分たちが思い続けてきたカフェのかたちができつつあると言います。
「コーヒーがおいしいのは当たり前のことだと思います。お菓子や料理との組み合わせやコーヒーとともに過ごす時間など、その先を楽しんでほしいと考えています」。木製トップとアイアンの脚を組み合わせた長方形のテーブルは、お客さん同士が親密に話のできる、大きすぎず小さすぎないサイズを割り出してDEN PLUS EGGオリジナル家具をオーダーしました。そんな細やかな気配りとこだわりがお店の随所に反映されているちゃんとしたカフェ・シヤント。コーヒーの種類は、深煎り、浅煎りのシングルオリジン(定期的にロースターが変更)と奥さまの元職場であるエルマーズグリーンコーヒーに焙煎してもらっている中煎りブレンドとどんなお客さんにも楽しんでもらえるまさに日常使いのカフェ。自分たちの思いを理解してもらえるエリアで、自分たちの思いを形にした吉田夫妻。オープンして1年半、ひとりコーヒーを楽しむ人、お菓子をテイクアウトする人、犬のお散歩途中に立ち寄ってくれる人など、ご近所さんをはじめ多くの常連さんに愛されるお店になってきています。
CAFE CYANT
大阪府大阪市天王寺区上汐5-7-1