RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
RIVIERE
兵庫県尼崎市 2021 /Jul/ 19 updatedキャビネットから始まったリノベーション。
武庫之荘の駅前通りをまっすぐ南に向かった通り沿いに洋菓子店『リビエール』はあります。オーナーの西剛紀、理美さんご夫妻が営むお店は1983年にお父さまが開業、街の洋菓子屋として愛されていました。そのお店を受け継いだおふたりは、あるときD+E MARKETのイベントを通して店舗デザインを手掛けるDEN PLUS EGGを知りました。3年間パリで修業をした剛紀さんは言います。「DEN PLUS EGGのつくる空間は、ヨーロッパにほんとうにありそうで、でも実際にはどこにもないんですよね」。海外で暮らした経験のある西さんは、DEN PLUS EGGの建材やアンティーク家具の質の高さと、それらを活かした空間がヨーロッパを模倣したものでなくオリジナルな空間である点を気に入って、お店のリノベーションを相談することにしました。
2019年の秋、最初の改装を行いました。工房の壁面を改装し、お店の中央に大英博物館で使われていた大きな3枚のガラス戸を上に開く大きなアンティークのキャビネットを設置。キャビネットにはできたての焼菓子を並べ、パニムールに好きなものを取るセルフスタイルを採り入れました。このスタイルは好評で、お店全体の雰囲気も大きく変わりました。このキャビネットが入ったことで、剛紀さんはその雰囲気に合わせたお菓子をつくるようになっていったといいます。「最初の改装をきっかけに自分たちが好きなものはこれだと再認識しました。すると、ほかの場所もどんどん好きなものに変えていきたくなるんです」という理美さん。キャビネットがきっかけでふたりには自然と変化が生まれてきました。
フランスの田舎のパティスリーのような空間へ。
その後、お店をさらに自分たちの好きなものに変えていきたいとさらなるリノベーションを検討。イメージはフランスの田舎のパティスリーでした。「お店をぎゅっと小さくしたかったんです。海外にはコンパクトなお店が多く、写真を見るだけでその店だとわかるんです」と剛紀さんがいうように、2度目のリノベーションの後は、扉を開けると新しい『リビエール』の世界が目に飛び込んできます。
まず大きく変わったのは、エントランス・スペース。風除室と呼ばれる二重の扉になったスペースを取り払い、入口のドアを開けると目の前にアンティークのドロワーとカウンター、パリの老舗ハーブ薬局を思い出させる雰囲気です。さらに、新調した大型のケーキのショーケースを前面に移動させて、中央にあったアンティークのキャビネットを窓際に移動。販売スペースは小さくなったにも関わらず、お客さまからは「広くなりましたね」という声が聞かれました。
広くなったショーケース後ろに仕切り壁をつくりアンティークの室内窓あしらい、バックヤードを広くとりました。ショーケース越しにアンティークの窓と外窓を通して見える緑が、不思議な心地よさを引き出しています。この設計について理美さんは、「D+E MAEKET REVIVALの店内が窓付きの壁で仕切られていて、外から中が見えてステキな空間だなといつも思っていたんです。今回、カフェの壁を仕切る壁に同じような室内窓をリクエストしました」と話します。
リノベーションを重ねて広がる夢。
今回はカフェ・スペースも大きくリニューアル。壁際にアンティーク・チェストを置き、壁も無地にして、シンプルで味わいのあるスペースに生まれ変わりました。カフェ・スペースの奥のトイレにはウイリアム・モリスの植物柄の壁紙、ちょっと贅沢な気持ちにさせてくれます。カフェ・スペースのレイアウトや飾りつけもD+E MARKETのディスプレイがとても参考になったと理美さんは言います。これからは、生まれ変わった空間で、ケーキや飲み物を楽しんでいただけます。
「リノベーションを重ねることで、少しずつ自分たちの好きな世界に近づいていると思います。海外のヨーロッパの田舎で昔からずっと続いているようなパティスリーに憧れます。写真でうちのお菓子を見ただけで食べてみたいなと思ってもらえるようなお店にしていきたいですね」。これからもいくつか改装の計画があるようで、将来は海外出店も目指したいと剛紀さんは言います。DEN PLUS EGGでのリノベーションを重ねるごとにふたりの夢はさらに広がっていくようです。
リビエール武庫之荘本店
尼崎市南武庫之荘3-34-6