RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
outil
東京都渋谷区 2020 /Dec/ 06 updatedフランスのヴィンテージ・ワークウエアをアイディア・ソースにして細部にまで気を配った洋服づくりを行なう『outil(ウティ)』を主宰する宇多悠也さんは、今年の初めに独立し渋谷に新しいアトリエを構えることにしました。以前DEN PLUS EGGの蚤の市に参加したり、ユニフォームをつくったりしたご縁で、今回は新しいアトリエをDEN PLUS EGGと一緒につくり上げていくことに決めました。
そのひとつのきっかけはフランスのヴィンテージの照明「GRAS(グラ)」でした。宇多さんが新しいアトリエに灯したいと考えていた「GRAS」の照明がDEN PLUS EGGにいくつもあり、その灯りを取りつけることをスタートとして互いにアイディアを出し合い、アトリエのイメージを広げてきました。
宇多さんのイメージにあったのは、洋服を展示しないときにはシンプルな空間になるよう、ハンガーラックやシェルフなどを稼働できるようにすること。天井を見上げると、洋服を展示するアイアンのバーを自由に吊れるように等間隔にフックのみを取りつけ、見た目もシンプルな設計になっています。その天井にはDEN PLUS EGGの提案で、フランスの工場で使われていたという「フォロフェーン」のヴィンテージ照明が3基取り付けられました。宇多さんは取りつけるまでは、自分では選ばなかったかもしれないと言いますが、実際に取りつけてみるとシンプルな空間にとてもいいアクセントになり、すっかり気に入ってしまいました。
さらに、宇多さんが愛するフランスのポーという街の図書館で使われていたというヴィンテージのアイアン製のシェルフにはオリジナルの木製のボックスをつくって収め、洋服のストック・スペースも充分に確保しました。そして、アトリエの入り口には、硝子に格子の入ったアンティークの扉が取りつけられました。本来は両開きの押し扉のため取っ手はありませんが、片開きにするために、扉の内側にアンティークの取っ手をつけました。入口を入ってすぐの壁にはアンティークの古材をつかった大きな姿鏡を立てアトリエはついに完成しました。
外から見るととてもシンプルなファサードですが、ここにはワイン好きの宇多さんが今後ぶどうの木を植えて、庇にツルを這わせて緑いっぱいのエントランスにしたいと言います。アトリエには大きなワインカーヴが置かれ、価値観の合う仲間たちが集まるとワインを分かち合う大切な時間をすごす場所でもあるのです。宇多さんは普段洋服のデザインについては1人で進めていますが、今回のアトリエは信頼のできるパートナーと一緒につくり上げることで、想像以上の空間が生まれたと言います。
『outil』の世界観を表現したこの空間で洋服を展示し、さまざまな人との出会いによってまた何かが生まれる、新しいアトリエはそんな場所を目指しています。灯り、家具、パーツなどシンプルながら一つひとつ細部に気を配ったまさに『outil』のブランドのようなアトリエが誕生しました。