RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
MAISON RUBUS.
東京都港区 2020 /Sep/ 26 updated
メゾンルーバスとDEN PLUS EGGのご縁は、4年前にD+E MARKETでジュエリーを扱い始めたことから始まります。DEN PLUS EGG&D+E MARKETのアンティーク買い付け担当者が、メゾンルーバスのジュエリーが好きでコレクションを少しずつ仕入れることになりました。2017年には芦屋市の「D+E MARKET Ashiya Cont’d」で、メゾンルーバスの小林有樹子さんと仲良しの福岡『papparayray』の山西理恵さんのふたりで、ジュエリーとデザートを楽しむ展示販売会を開催。宝石を散りばめた空間に訪れた人たちはみな、美しいジュエリーに囲まれて宝石のようなお菓子を楽しむ夢心地の時間を楽しんでいました。その後、毎年開催されることになりました。
その展示のとき、ジュエリーだけを持参して、ディスプレイはすべてD+E MARKETが担当をしたことが今回のリノベーションのきっかけとなりました。
D+E MARKET Ashiya Cont’dは、バイヤーYさんが選ぶ独特の空気感があるアンティークの家具家具と小物がそろっていて、まるでメゾンルーバスのジュエリーのためにあるような空間だったのです。ジュエリーを置くだけで完成した展示は、その後のメゾンルーバスのディスプレイの方向性が見える良い機会となりました。
ルーバスとはバラ科の植物のラテン語名で、かわいいだけではない美しくも棘を持ち凛としている女性をイメージしてつくられるジュエリー。そのためショールームはアール・デコ時代の雰囲気を感じる黒と白を基調にしたラグジュアリーな空間でした。ディスプレイにも黒い漆素材やガラスのみを使用することが多かったのですが、この展示会以降は、その中にアンティークのジュエリーケースをはじめ花柄の食器や木製ヴィンテージボックス、ミラーや真鍮などさまざまな素材を用い、もともとルーバスのジュエリーが持っている1920〜40年代の雰囲気とうまくミックスした空間ができあがりました。
長い間ショールームの事務スペースとお客さまが来られるスペースを仕切りたいと思っていた有樹子さんは、DEN PLUS EGGに相談をしました。当初のジュエリー買い付けからずっと担当していたYさんがリノベーションを担当。ふたりで相談を重ねたのち、思い切って白い壁をピンクベージュに塗り替えることに決めました。
「ピンク色=かわいい・甘いと思い込んでいたんです。だからルーバスのジュエリーにはかわいすぎると思っていたのですが、いろいろな心境の変化もあり、リノベーションについて話すうちに一度試してみようという気持ちになりました」。
ピンクとは言っても選んだ色はほんのり赤味のあるベージュで、落ち着きのある大人の女性にぴったりの色合いです。黒で統一されていた家具に、ラスティック・ホワイトや古い木の色が加わり、ショールームは元々のシャープな印象に、有樹子さんが持っているふんわりと優しいイメージが加わりました。
そのほか、事務スペースに窓付きの壁をつけて自然光がお部屋全体に届くような仕切りを作り、ローテーブル&ソファをダイニングテーブル&チェアに変えると、それまでの空間よりとても広く感じられる上に、有樹子さんのお部屋に招かれたような心地良さを感じられるようになりました。マスコット・ドッグのアールくんも気持ちよさそう。
リニューアルして1年が経ち、有樹子さんに感想を聞いてみると「実は正直ピンクベージュの壁に慣れるまでに少し時間がかかりました。けれど、ずっとショールームにいるとだんだんとなじんできて、宝石を選ぶときに少し優しい色目を入れたくなったりして、ジュエリー創作に新しい変化を与えてくれています。今ではこの空間がとても気に入っています」。
ファッションと同様に毎年春夏・秋冬とめまぐるしいコレクションを発表し、いつも制作の締め切りに追われていた有樹子さんですが、もう少しゆったりとジュエリー制作を楽しもうという気持ちになっているといいます。それも新しい空間で、ゆったりと快適に過ごすことが関係しているのかもしれません。