RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
ゆっくりと”経年美”を育てるリノベーション
兵庫県神戸市 2025 /Jan/ 08 updated「DEN PLUS EGGの“経年変化”という言葉にすごく惹かれたんです」。神戸のマンションをリノベーションしたSさんは、元々アンティークなどの古いものが好きだったので、DEN PLUS EGGがフィロソフィーとして掲げる“経年美”という考えに深く共感しました。「古いものには歴史を感じますし、唯一無二な価値があると思います」。Sさんご夫妻が打ち合わせのため西宮にある洋裁学校をリノベーションしたDEN PLUS EGGのオフィスに行ったときに、水場の天板に古材が使われていたのを見て、その経年による美しさにとても魅力を感じたと言います。
今回のリノベーションで、“経年美”という言葉を象徴するのが、キッチンの前に置かれたイギリスのアンティークのキャビネット。Sさんご夫妻の好みを生かし、DEN PLUS EGGの設計担当Kさんは、元々キッチンにあったカウンターを取り払ってアンティークのキャビネットを設置するという大胆な提案をしました。「最初の部屋のイメージ・スケッチを見せてもらったときに、このアイデアはいいなと思いました。選んでいただいたキャビネット自体もとても好みのものだったので、今ではこれが我が家の顔になっています」。Sさんは提案のプランを見て一気にイメージが湧いたと言います。
キッチンは、アンティークのキャビネットの雰囲気を生かしながら、ワークトップやキャビネットにオーク木材を選び、同じ色に塗装して統一感を持たせました。「オークのキッチンカウンターは、なんだか贅沢だな」とS さんはとても気に入りました。最初はステンレスのワークトップを希望していた奥さまも、オークのカウンターを見てその仕上がりにとても満足しています。キッチン壁には黒いアルチザンタイルを貼り、シンクと水栓にKOHLER製のものを選び、全体のトーンがさらにシックに仕上がりました。さらにSさんの希望で、業務用のステンレスの吊戸棚のキャビネットを取り付けるといいアクセントになりました。Sさんはお料理が得意で、キッチンにはおふたりで立つことも多いと言います。
キッチンからつながる床材には無垢のパイン材を選びました。「パイン材は柔らかくて傷がつきやすいと言われたのですが、逆に経年で色味も濃くなって味がでると思うので、思い切ってパイン材を選びました」。パイン材にしてよかったことは、部屋が明るく見えることと、思った以上の木の温もりを感じたといいます「素足で歩くと柔らかさと温かさが伝わってきて本当に気持ちがいいんです」。
廊下へとつながる室内ドアはイギリスのアンティークで、「215」という当時使われていた番号もそのまま生かしています。カーテンは「FLUFFY AND TENDERLY」のリネンのカーテンを選びました。「光がきれいで上品で気に入っています」。リビングの脇には印象的なアーチ状の入口があり、その奥はウォークイン・クローゼット。壁はブリティッシュ・グリーンのクロスで、セレクトショップのストックヤードのような雰囲気です。クローゼットとの間仕切りの壁には教会を感じさせるアンティークのベンチを置き、アーチ状の入口ともマッチしています。オリジナル制作の木製室内ドアを開けると洗面所につながります。洗面所のカウンタートップもオークにしてキッチンと同じテイストで仕上げました。その佇まいはまるでホテルのようです。
「LDKの壁については最後まで塗装にするか壁紙にするか悩んだ結果、塗装を選びました。できあがって触れてみて、陽の光や照明の光の反射するところを見ると本当にきれいで、塗装にしてよかったと思っています」。
DEN PLUS EGGとの家づくりを振り返ってSさんは言います。「DENさんは古いものを取り入れながらも調和がとれているんです。アンティークのキャビネット使いのようにワクワクする提案が多くて、担当者Kさんとの日々のやりとりも楽しかったです。施工の途中でも例えば玄関のライトのように、その都度新しい提案をしてくれて、きめ細やかに対応していただいたのでとても心強かったです」。
新しく生まれ変わった明るい部屋でおふたりは毎日の暮らしを楽しんでいます。「部屋にすごく愛着がわいて、毎日1回は『いい家だな』って言っています」。Sさんご夫婦はそう言って顔を見合わせ笑います。