RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
“刻々と変わりゆく自然の光と影を楽しむ”スタジオ&住居。
東京都八王子市 2024 /Mar/ 05 updated写真スタジオとプライベート空間、職住ともに満足のゆとりある4人家族のマンション・リノベーションを紹介します。築28年、ワンフロア130㎡のマンションは四方向に窓があり自然光がたっぷり入る贅沢な建物。玄関を入るとすぐに広々としたスタジオ、その脇の廊下を抜け室内ドアを開けるとそこから先はプライベート空間。北東の角にあるスタジオには柔らかいノースライトが回り込み、東向きのキッチンには朝陽がたっぷり、南西に採光のあるリビングは一日中明るく、長い廊下は光の中へ抜けるトンネルのようなわくわく感があります。壁式の鉄筋コンクリート造で取り除けない壁があるため一番明るい南側に配置することになった寝室には、英国調の木製ルーバーをつけて昼の時間に柔らかな日差しのなかで読書を楽しめるゆとりある空間になりました。
フォトグラファーYさんの一番の希望は「刻々と変わりゆく自然の光と影を楽しみたい」。その希望をかなえるため、陰影を楽しめる間取りと色調、マテリアルや仕上げを選んでプランが完成。完成した住まいはどこにいても自然光の美しさと影の深みを感じることができる希望通りの家となりました。
この界隈に住んで11年になるというYさんは、フリーランスで仕事をしながら子育てをするフォトグラファー。ご主人の仕事は転勤が多いと考えて、すぐに引越しできるよう60㎡の賃貸住宅で二人暮らしをスタート。ところが5年前のご主人の海外駐在の際には単身赴任を選択、Yさんは残って一人で子育てをすることに。「主人が単身赴任をしていたとき、ワンオペでの子育てと自分の仕事に忙しいなかで急に『今なら住空間を好きにできる』と目覚めたんです。好きな家具やインテリア雑貨を買い、間に合わせでそろえていた家具や小物を捨てていきました。すると気持ちがどんどん良くなって、もっといい空間をつくりたい欲求が強くなってきたんです。そんなときコロナになって、4人家族が狭いうちで顔付き合わせる日々が始まって、“いつか”と思っていた家探しが“いま”になりました」と話す。
職業柄、自然光の入るスタジオ付きの家を持つことが大きな願い。ところがいざ家を持とうとすると、新築かリノベーションか、マンションか戸建てか、自分たちにふさわしい家のスタイルがわからない。また物件探しとリノベーションは別の業者でできるのか、などほかにもわからないことばかり。そこでまずは近所のリノベーション会社でウェブ相談を始めました。「近所の会社に希望を伝えても、わかってもらえているのかわからなくて、言葉が通じない気がしました。そこで以前から気になっていたDEN PLUS EGGさんにコンタクトを取って同じように話をしたら“希望が通じる感覚”があったんです。言葉の通じない人に一から十まで説明して家づくりを進めるのは大変だと感じていたので、わかってくれる人に出会った!と安堵しました」と振り返るYさん。また「物件探し」と「リノベーション」を別の会社で進めることは自分たちの負担がとても大きいこともわかり、DEN PLUS EGGに物件探しからのワンストップリノベーションで依頼することを決心。“スタジオを併設できる4人家族のマンション”というハードルの高い条件で物件探しをスタート、約1年かけて理想の低層マンションと巡り会いました。
「刻々と変わりゆく自然の光と影を楽しみたい」をテーマに、採光を生かした空間づくりがスタート。北西の大きな開口部からスタジオに入る光は、大きなガラスをはめ込んだオリジナルの室内窓で廊下を照らし、日中は玄関まで明るく、ダークオイルでフィニッシュした無垢オークのパーケット・フローリングのディテールを美しく見せます。西向きの壁付けだった暗いキッチンを東側に移動させて、朝陽がたっぷり入るアイランド型キッチンに。キッチンの移動に伴う配管のため、キッチン&ダイニングの床を上げ、リビングのフロアはそのままダイニングより一段下がる構造になりました。すると1段低いリビングに置かれた大きなソファは、劇場のアリーナ席に座るような居心地の良さになったのです。玄関からリビングまで続く通路を兼ねた大きなウォークインクローゼットを設置、テレビを取り付けた壁の背後には配線を隠す収納とパントリーを設置、この二つの大きい収納で家の中はいつもスッキリ。急な来客があっても安心だとYさんは笑います。
「ここに住み始めて半年ほどですが、毎日好きなものしか目に入らない暮らしはとても気持ちがいいです」とYさん。ライフワークとしている撮影は、日常を撮ること。それは出産や退院、あるいは育休が明ける前の親子の濃密な時間など、人生の大切な瞬間でありながら忙しくて記録なく過ぎ去ってしまうことが多い“生活の痕跡”を残すということ。いろいろな人の家に行って写真を撮るうちに、住まいはそこで暮らす人の人となりを映す存在だと気付いたという。「こういう家族だからこういうお家だというのが見えてくるんです。キャラクターと家が合っているといい写真が撮れますね」と話す。3年近い時をかけてつくりあげたYさんファミリーの新しい住まい、これから4人の家族のキャラクターを映して、どんな色に染まっていくのでしょう。