RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
お気に入りの景色がより美しく見える、心豊かになるリノベーション。
兵庫県西宮市 兵庫県西宮市 2022 /Nov/ 02 updated大手不動産会社リフォーム説明会で悟った自分たちの志向。
「キッチンから窓越しに見える景色が映画『欲望の翼』の車窓からの緑のシーンとダブるんです」と話し始めたI さんは、映画や音楽、キャンプなどさまざまな趣味を持ち、高い審美眼を持っています。19年前、結婚を機にまだ新しい中古物件だったこの部屋を買ってそのまま入居しました。すべてが新しかったので、カーテンもそのままに暮らし始めたのだと言います。今回、傷んできた水周りの器具を取り替える機会に、中学生になった子どもの独立した部屋をつくろうという流れになり、リフォームを考え始めました。
大手不動産会社のリフォーム説明会に参加したふたりは、その説明にまったくピンとこなくてどうすべきか考えあぐねているうち、奥さまがインスタグラムで説明会と正反対のリノベーションをしているDEN PLUS EGGを見つけました。ふたりはすぐに連絡を取って西宮北口のSTUDIO DEN PLUS EGGに初めての打ち合わせに出かけました。
「建物に入る前からわくわくしました。古い洋裁学校をリノベーションしていると聞き、オフィスの中を見て、こういうスタイルのリノベーションがあるのだと見るものすべてに心惹かれました」というIさん。最初の打ち合わせでふたりのやりたいことを担当者に口々に伝えました。「けれど自分たちが伝えたことは全体としてはぜんぜんまとまっていなくて、こんな色やあんな色を使いたい、ウィリアム・モリスの壁紙を使いたい、無垢のフローリングにしたい、など細かい部分の話ばかりだったと後から考えると思います」。前のめりだったと笑うIさん、まとまらないけれど溢れ出る希望を、まとまったプランとして見せてもらったときは感動的だったそう。
南側に面する全面ガラスの大きな開口部を持つリビングダイニングは、オークの無垢のフローリングとリトアニアリネンガーゼのやわらかなカーテンにするだけで、極上の空間になりました。ペニンシュラキッチンの上部にあった収納を取り去りカウンタートップをフラットにして広げ、ダイニング側に収納をつけました。「キッチンはもともと窓側を向いていたのですが、天井からの大きな吊り戸棚がある上にカウンタートップが立ち上がっていて段差もあったので、せっかくの眺めをあまり楽しめなかったんです。今回はフラットになって広々と使いやすい上に窓が見渡せるので、とても気持ちいいです」と奥さま。キッチンのテーマは“メキシコ”。ターコイズのアルチザンタイルにイエローの壁紙、木製のキャビネットトップとブルーのキャビネット扉、ブルー系とイエロー系がミックスしたカラフルなキッチンです。
きれいな色をたくさん使いたい!をバランスよく実現。
そのほかの部屋の壁や室内もすべてピンクベージュやモスグリーンなど、少し色味のあるものが選ばれています。これはご主人の希望でした。「色をたくさん使いたかったんです。もともとはブルーやイエローやグリーンなどもっとカラフルな色を希望していました。けれどそれらを全部本当に使ったら、きっととんでもない家になっていたと思います(笑) 設計担当者の方が、ぼくの希望をいったん全部受け止めた上で、全体のバランスが取れた色使いを提案してくれたのですが、それが素晴らしくて驚きました」。
レコードや本、ビデオなどがぎっしりのご主人のお部屋の壁はペールブルー。同じ色でペイントされた飾り棚を取り付けました。希望のウィリアム・モリス壁紙は、和室をリノベーションした奥さまのお部屋の壁とトイレに採用。そのどちらの空間にも壁紙と相性のいいアンティーク窓枠を使った室内窓をつけました。「これは担当者さんからの提案でした。こんなことができるんだと本当に驚きました」とIさん。自然光を通す室内窓はアンティークで、雰囲気の良さと光が通る機能が両方あるデザインにすっかり魅了されたとのことです。
もう一つの大きな改装ポイントは、玄関横の洋室の一部を玄関からつながるマットブラックのセメントタイルを敷いた土間にして、キャンプ用品を置くスペースとしたこと。窓に面したコーナーにはデスクを置いて、玄関だけでなく個室とも行き来できるレイアウトにして、収納を兼ねたちょっとした隠れ家のよう。
子育ての部屋として使っていた和室は、ふすまを取ってスライドドアにして、半分をフローリング、半分を琉球畳に変更。「畳が好きなので部分的に残してもらいました。驚いたのはスライドドアです。天井に吊り下げ式になっているので、扉を開けると床はひと続きになっているんです。昼間は開け放しておくとリビングがとても広く感じて、ウィリアム・モリスの壁紙も風景として楽しめるんです」と話す。
リノベーションが変える気持ちと暮らし。
夫婦どちらも料理をするI夫妻、ご主人もしょっちゅうカウンターの中で料理をしながら窓からの雄大な景色を眺めていると言います。何気なく使い続けていた前住人の柄物レースのカーテンをリトアニアリネンのカーテンに変えることで、景色まで見違えることに気づいたというご主人、そこで冒頭の一言を教えてくれたのでした。
リノベーション後まだ1カ月というのに、あまりの居心地の良さにふたりとも家にいることが多くなったと言います。「そういえばここができてから休日も家で過ごすことが多くなり、キャンプに行っていません(笑) でもそろそろ行こうかな」と笑い合うふたり。きっとキャンプの準備も今まで以上にスムーズにいくのではないでしょうか。