RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
白を重ねた空間で、レコードを聴きながら料理を楽しむ家。
東京都中野区 2022 /Sep/ 26 updated玄関の扉を開くとすぐ右手に落ち着いた音楽スタジオがあり、
かつてアメリカ・ボストンのバークリー音楽大学に留学し、ニューヨークにも住んでいたことがあるFさんは、欧米の建物の雰囲気が大好きでした。昔からインテリアには強く関心があり、特に古いヨーロッパの建物によくみられるモールディングを部屋に使いたいと思っていたそうです。
リノベーションを検討するにあたっての悩みは、自分の好みの欧米の雰囲気をもった部屋をプランニングしてくれる設計会社に出会えないことでした。ウェブや雑誌などいろいろと設計事務所を探しましたが、自分の感覚にマッチする会社がなかなか見つからないと悩んでいたある日、ウェブサイトでDEN PLUS EGGの事例写真を見つけました。ピンときたFさんはすぐに電話をかけ、タイミングよくその日のうちに千駄ヶ谷のDEN PLUS EGG東京オフィスを訪ねることができました。
事務所を訪れたFさんは驚きました。そこはまさに自分が夢見ていたヨーロッパの雰囲気を漂わせる空間だったのです。キッチンの壁に貼られた味わいのあるタイル、淡く光るランプ、無垢材をつかったフローリングの床、欧州様式の木製の階段の手すりなど、そこにはFさんがイメージしていた空間そのものでした。クラシカルで伝統的な雰囲気を感じながらも決して古い感じがしないところがとても気に入りました。後日オープンハウスに足を運んで確信を持ったFさんはDEN PLUS EGGにリノベーションを依頼することを決めました。
まずは全体を白で統一したいという希望がありました。そして寝室は落ち着けるように、デューク・エリントンなどの昔のジャズ・ミュージシャンの部屋をイメージしたベージュにしました。一枚一枚風合いの異なる手焼きのアルチザンタイルは、Fさんがどうしても使いたかったタイルで、キッチンの壁全面に貼りました。そして、料理しながらも部屋全体が音に包み込まれるように、キッチンの背面の壁にキャビネットを設えてアメリカ製のスピーカーを置き、レコード棚を作りました。キャビネットの扉やペニンシュラキッチンのカウンターにはお気に入りのモールディングが施されています。
全体は白を基調にしながら、スタッフから提案されたパステルカラーを洗面所とバルコニーにつながる廊下に採用、ジェンダーレスな魅力のある空間デザインに。オープンハウスを訪ずれたとき一目見て気に入ったフランス製陶器のペンダント・ライトをキッチンにつけ、カウンターキッチンのアクセントになりました。
以前使っていた木製の扉は、白く塗り直すと新しい内装にぴったりだったので、寝室のドアとして再活用。洗面スペースにもお気に入りのアルチザンタイルを貼り、シンク台の扉は淡いブルーグレイで仕上げました。タイルの上には細い真鍮をつけ、ラウンドの大きな鏡も縁を真鍮で仕上げたオリジナルです。タオルをかけるバーやドアノブにも真鍮を使い、上質な統一感が生まれました。
Fさんは、プランニングの途中に部屋の中で設計スタッフとやりとりしたときのことを、ジャズ・ミュージシャンのセッションを例えに話してくれました。「ジャズでも初めて一緒に演奏するピアニストなど、8小節も弾いてもらえばフィーリングが合うかわかるんですよ」。DEN PLUS EGGのスタッフとは、最初に会ったときから感覚が合うと感じ、その後もずっと信頼を置いていたと言います。例えば、図面をベースにしながらも実際の寝室に入ってみて、「ベッドの横のスペースに書斎のテーブルをつくりつけませんか?」とその場を見ながら提案いただいたことなど、まるでジャズの即興演奏のような気持ち良さだったと振り返ります。
シンプルで広くなったLDKはとても快適で、キッチンでレコードを聴きながら料理する時間や、娘さんとリビングで過ごす時間など、Fさんと娘さんは、リノベーションの結果にとても満足していると言います。ターンテーブルの上には、お気に入りのオスカー・ピーターソンのレコードが置かれ、