RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
「モダン、アンティーク、ホテルライク」がテーマの一軒家。
兵庫県西宮市 2021 /Nov/ 05 updated洋館のような雰囲気の中古住宅を探して。
「DEN PLUS EGGに物件探しからの依頼をして5軒目でこの家と出会いました。吹き抜けのある玄関の広さ、玄関からつながる階段の雰囲気など、ひと目見てここに決めました」と語るのはN夫妻。インテリアが大好きなご主人は会社勤め、奥さまは美大を出て自宅で油絵を描いています。
梅田に通えるいい中古住宅にそのまま住むつもりで物件探しを始めたものの、物件を見るうちにそのまま住みたい中古住宅は存在しないことに気がつきました。そこでリノベーションを前提での物件探しに切り替えると同時にリノベーション会社を探し始めました。
奥さまがネット検索で気に入った事例を見つけると施工者はいつもDEN PLUS EGG。そこでホームページで事例をいくつも見て、インタビュー記事を読み込みました。そうすると自分たちが考えていること、「きれいにリフォームしているけれど、きちきちしてはいない。アンティークの使い込んだ雰囲気を残す。どこかほっとする」と同じ考え方を持っていることがわかりました。さらに不動産部門もあると知って、リフォームを前提とした中古住宅の物件探しから依頼をすることに。
「洋館のような外観」「広い玄関から階段が続く」というN夫妻の希望は、難易度が高くしばらくは希望の家が出てきませんでしたが、探し始めて5カ月後、梅田から約40分の郊外にピアノの教師をしている女性が住み替えのために売りに出している一軒家と出会いました。まだその女性が住んでいるお家を見に行ったとき、すぐにふたりはここにしようと決めました。
その女性は、きっとこの家を愛していたのだということが伝わってくる保存の良さ。吹き抜けや窓、玄関ドアなどもとてもステキで、その方から大切なものを受け継ぐ気持ちで、元々ある家の良さを生かしてのリノベーションを依頼しました。
「モダン、アンティーク、ホテルライク」の3つのテーマ。
N夫妻は、今回のリノベーションに3つのテーマを持っていました。一つはモダンな雰囲気を持っていること、そしてアンティークの良さを感じられること、そしてもう一つはホテルライクな空間です。
中でもご主人が一番実現したかったのは腰壁モールディング。海外のホテルのような彫刻の美しいモールディング付きの腰壁のある広いリビングは、理想の家の大きなポイント。そしてもう一つは暖炉。本当の暖炉をつけたかったのですが、住宅街の家であるため煙を出すことは難しく、代わりにペレットストーブを設えて暖炉のような雰囲気を醸し出し、玄関から吹き抜け、そしてリビングまでを一気に温める暖房システムにしました。快適な温熱環境を考えて、今回のリノベーションでは既存の窓の内側にもう一つ窓をつけて二重窓にして機密性をアップしています。
奥さまが希望していたのは、柔らかいベージュの壁と木の質感を感じられるほっとするキッチンです。希望通りのベージュの壁と木製のオリジナルキッチンのデザインに加えて、設計担当者が提案したのは、「オレンジ色のアルチザンタイル」でした。オレンジピンクのような色合いによって、ベージュ系のナチュラルな印象の空間が引き締まった印象に。ダイニング部分が少し狭い間取りであったため、サンルームの増設を依頼したN夫妻、隣の家との距離感を考えて腰窓の部屋を増設したような改装を加えることで、隣家の視線の気にならない広いダイニングが実現しました。
このアルチザンタイルを気に入られたということで、設計担当者が次に提案したのは「赤い靴箱」です。玄関は元の家を生かしていて靴箱も元々あったものですが、レッドオレンジ色に塗り替えることで玄関の印象がパッと変わりました。クラシカルな印象の元の家とグレー&ホワイトと腰壁モールディングがつくりだすシックな世界に、鮮やかな赤い花を咲かせるようなデザインです。
和室と洋室の壁を取り払って作られた広々としたリビングルームは玄関からキッチンへとひと続きになっています。このフロアは、N夫妻がとある物件で見た飾り床をイメージしたオーク無垢材のパーケット貼りでそろえました。
元のデザインを生かす階段と2階フロア。
洋館のような木彫の美しい白い手すりのステアケース。こちらも元々あったものを塗り替えただけですが海外の住宅と見紛ういい雰囲気。アラバスターというニュアンスのある白い壁紙に合わせて、塗装職人が調合した同色の塗料で手すりを塗り替えました。吹き抜けにあった照明はそのまま、ご主人の持っていた照明をステアケースに取り付けましたが、どちらが元々でどちらが新しくつけたのかわからないほど調和しています。
吹き抜けの左右の部屋は、1室はご主人の書斎としてブルーの壁に。室内窓は元の木製のものをそのまま生かしたデザインです。対面に位置する1室は奥さまのアトリエ、ここは自分で壁を塗りたいという奥さまの希望で、下地のみをきれいに仕上げました。窓は取り替えて、白い木枠の滑り出し窓をつけました。
「どこかに全面ウィリアム・モリスの壁紙を貼りたかった」というN夫妻の希望で、寝室はモリスの壁紙にしました。一面だけ白壁にしてプロジェクターを設置し、モリスの壁紙のある小さな映画館のようになっています。
完成度の高さに驚くふたり。
工事中はあまり現場を見に行くことができなかったというN夫妻、引渡しの日に玄関のドアを開けて感嘆の声をあげました。「わぁ〜!ってなりました。玄関からからリビングまで開けていて、とても広くなって素晴らしかった。想像以上の理想の家ができていました」と声をそろえるN夫妻。
実は玄関を入って右手は、元々は和室とリビングに分かれていて壁で仕切られていたので、少し閉鎖的な空間になっていました。今回のリノベーションで柱を一部残してできる限り壁を取り払ったので、大きく抜け感のある玄関からリビングへのアプローチが実現したのでした。
住み始めて1カ月、気に入っているところを聞くと、「もうすべてがいいんです。特にモールディングのクォリティの高さに圧倒されています。よく見かけるハリボテ感が一切なくて、本当にきれいで驚きです」とご主人。
「洗面所が気に入っています。提案された薄いピンクの壁も良くて、居心地がいいです。システム洗面とか、そういうのが絶対イヤだったんです。おまかせでつくっていただいた洗濯スペースも気に入っています」と、好きなところをあげるとキリがないと話してくれる奥さま。
元々家で過ごす時間が好きだというふたりは、新しいお城でそれぞれの時間を満喫している様子でした。