RENOVATION / NEW HOUSE / STORE DESIGN
心のルーツはロンドン、物件探しから始めたマンション・リノベーション。
大阪府吹田市 2021 /Jun/ 10 updated物件探しからスタートしたマンション・リノベーション。
大きな公園に面する築35年のマンションを親娘3人家族のライフスタイルに合わせてリノベーション。玄関を入ると長い廊下、ピンクベージュ、オリーブグリーン、グレーと少しずつニュアンスの異なるスモーキーな色に塗られたドアが並ぶその廊下を進むと、ぱっと広がる大きいリビング&ダイニング。開放的な全面ガラスの窓から目に飛び込んできたのは青々とした新緑。LDKのバルコニーの向こうは緑だけ、森の中に住んでいるような素晴らしいお部屋。コの字型のキッチンの中からも美しい新緑と自然光、木の香りの風を感じることができます。
グレーアッシュのフローリングの広々としたLDKは、生まれたばかりの赤ちゃんが動き回っても大丈夫なようにできる限りものを少なく空間自身の持つ心地よさだけを感じられるようにシンプルなデザインに。もともとリビングに併設されていた和室は、ブリティッシュな子ども部屋へと生まれ変わりました。
アンティークが大好きで関西のショップめぐりをしていたゆいさんが足繁く通っていたのが、D+E MARKETのショップです。苦楽園の緑のお家に『D+E MARKET』の1号店があったころから、D+E MARKET芦屋店、リネンショップ『FLUFFY AND TENDERLY』、パーツショップ『WATSON』、そして『D+E REVIVAL』とこれまでの各店を訪れ、2019年にはDEN PLUS EGGの蚤の市に出店者として参加もしていただきました。
ちょうどそのころそろそろ自分たちの城をつくろうと考えていたゆいさん夫妻は、DEN PLUS EGGに物件探しから家づくりの相談を始めました。ご主人が希望する最寄駅から遠くないこと、ゆいさんが求める自然を感じられる立地であるということ、両方の条件を満たす物件を3年に渡って20件以上見て回り、昨年の秋ついにふたりの条件を全て満たす物件に出会うことができました。その間に子どもを授かったふたりは、これからの親娘3人の家をイメージしたリノベーションを依頼しました。
心のルーツはロンドン、憧れのモリスの壁紙とヘリンボーン・フローリング、そしてコの字型キッチン。
子ども部屋の内装はずっと憧れていたウィリアム・モリスの壁とヘリンボーンのフローリングにして、ふたりの心のルーツであるロンドンを感じられる空間にしました。キッチンから中の様子が伺える木製の室内窓をつけて、デザイン性と機能の両方を生かす仕様に。そして何よりゆいさんがこだわったのがキッチン。イギリスのお家のキッチンのような広々としたコの字型キッチンです。
ワーキングホリデーで2年間滞在していたロンドンでご主人と出会ったゆいさん、ロンドン郊外の大きな一軒家をシェアして暮らしていました。みんなで使うキッチンはとても大きくてコミュニケーションの場でもありました。「キッチンはロンドンのイメージを再現したかったんです。広い作業台も欲しかったので、ヨーロッパによくあるコの字型カウンターをつけてほしいとリクエストしました」と話すゆいさん。ご主人やお友だち、やがて大きくなる娘と一緒に料理をしたり、キッチン・アペリティフをしたりと、長い時間を過ごしたくなる場所にしたいという。
もうひとつキッチンにどうしても使いたかったのが手焼きのマーメイドタイル。苦楽園のショップ『WATSON』の壁を見たときに一目惚れをしたタイルだと言います。「一般的に日本で使われているタイルは形や色がきれいにそろっていて、あまり魅力的ではないんですよね。このタイルを見たときに、その形の面白さだけでなく一枚一枚表情の違うことに大きな魅力を感じました」というゆいさん。今回はコンロの部分だけマーメイド・アルチザンタイルがあしらわれ、全体的にシンプルなトーンと好きなものがバランスよくデザインされています。
ゆるい気質と目に楽しい暮らしへのこだわりのバランスがいい家づくり。
ロンドンから帰国したゆいさんが感じたことは、日本の窮屈さでした。「主人もわたしも向こうのゆるい気質が好きなんです。なので、電車のダイヤ一つとってもそうなんですが、日本のきちきちした感じに疲れを感じることも多いですね」と笑う。その長いロンドン暮らしでできたつながりを生かして、インポート雑貨のオンラインショップも運営していたのでアンティークやインテリアの目利きでもあり、いいものと遊び心、ゆとりや遊び心を持ち合わせています。
「今回Fallow& Ballの色見本帳を参考にさせていただきました。するとあまりにも好きな色がたくさんあって一つに選べなくて。結局、廊下にある3枚のドアには別々の色を塗ってもらったんです」。廊下の3枚のドアにはモールをつけて真鍮のノブに付け替え、造作の美しいLDKのドアはそのまま、4枚とも異なる色を塗装しました。暮らしているうちに別の色がよくなったり、すべて同じ色がいいと思ったりしたら塗り直せばいいというイージーゴーイングな気持ちで決めたと言います。
気に入らないところはDIYでメンテナンス、古いいいものは直して使い続ける、そんなヨーロッパの暮らし方のスピリッツを身につけたふたりは、もともと長く使い続けられるものだけを選んで暮らしていたのですが、今回のリノベーションでさらに厳選されたものだけに囲まれる暮らしになりました。なんとテレビがありません。「家電って難しいですよね。テレビがあるだけでリビングの雰囲気が壊れてしまうので、プロジェクターで壁に映画を写しています。せっかく窓の外も緑で気持ちがいいのでそれを感じる暮らしをしようと思っています」と話してくれました。